「建設業許可の手引き」

許可の概要について

建設業許可の概要

さあ、それでは「建設業許可の手引き」最初の項目「許可の概要」からスタートです。

何事も全体像をとらえることが肝心です。建設業許可申請手続きを知るには、まず概要を読んで自分がどの申請をするのか掴んで下さい。

ここでは、建設業許可を申請する行政庁とは?許可の業種や大臣許可と知事許可の違い等の建設業許可の概要を解説します。

特に許可業種は、建設業許可の中でも重要な決定事項です。今までどの業種を施工してきたのか、今後どの業種を追加したいか、それによって必要な経営経験や人材等が変わってきます。

ただし、このページだけ読んで判断せずに、手引きを最後までお読みいただき全体像を掴むことをお勧めします。

建設業許可を申請する行政庁とは?

建設業を営もうとする者が1つの都道府県にのみ営業所を設ける場合には、当該都道府県知事の許可を受けます。

一方、2つ以上の都道府県に営業所を設ける場合には、国土交通大臣の許可が必要です。

知事許可及び大臣許可を受けた建設会社・個人は、営業所の所在地に関わりなく日本全国どこでも建設工事を行うことができます。知事許可だから、許可を受けた都道府県内のみの仕事しかできない訳ではありません。

それでは、営業所の内容をもう少し具体的に解説します。

建設業に関する営業を行わない店舗や、建設業とは無関係な支店、営業所等は、ここでいう営業所には該当しません。

営業所とは、本店または支店もしくは常時建設工事の請負契約を締結する事務所をいいます。また、これら以外であっても、他の営業所に対して請負契約に関する指導監督を行うなど、建設業に係る営業に実質的に関与する場合も、ここでいう営業所になります。

建設業許可の種類

国土交通大臣または都道府県知事は、建設業の種類すなわち業種別に許可を行います。

建設工事には、29の種類があり、それぞれの工事の種類が建設業許可における業種に対応しています。建設業の許可は、営業する業種ごとに取得する必要があります。

また、同時に2つ以上の業種の許可を受けることができ、現有の許可業種に業種をいくつでも追加できます。ある業種の許可を受けた場合でも、他の業種の工事を請け負うことは、その業種の許可も受けていない限り禁じられます。

●建設業許可の業種区分と例示

建設業許可業種の区分 建設工事の内容 建設工事の例示
土木工事業 総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物を建設する工事(補修、改造又は解体する工事を含む。) 道路工事、港湾工事、護岸工事、堤防工事、砂防工事、防波堤工事、離岸堤工事、海岸工事、消破堤工事、干拓工事、ダム工事、水源施設工事、トンネル工事
建築工事業 総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事 新築工事、増築工事、改築工事
大工工事業 木材の加工又は取付けにより工作物を築造し、又は工作物に木製設備を取付ける工事 大工工事、型枠工事、造作工事
左官工事業 工作物に壁土、モルタル、漆くい、プラスター、繊維等をこて塗り、吹付け、又ははり付ける工事 左官工事、モルタル工事、モルタル防水工事、吹付け工事、とぎ出し工事、洗い出し工事
とび・土工工事業 イ.足場の組立て、機械器具・建設資材等の重量物の運搬配置、鉄骨等の組立て、工作物の解体等を行う工事 イ.とび工事、ひき工事、足場等仮設工事、重量物の揚重運搬配置工事、鉄骨組立て工事、コンクリートブロック据付け工事、工作物解体工事
ロ.くい打ち、くい抜き及び場所打ぐいを行う工事 ロ.くい工事、くい打ち工事、くい抜き工事、場所打ぐい工事
ハ.土砂等の掘削、盛上げ、締固め等を行う工事 ハ.土工事、掘削工事、根切り工事、発破工事、盛土工事
ニ.コンクリートにより工作物を築造する工事 ニ.コンクリート工事、コンクリート打設工事、コンクリート圧送工事、プレストレストコンクリート工事
ホ.その他基礎的ないしは準備的工事 ホ.地すべり防止工事、地盤改良工事、ボーリンググラウト工事、土留め工事、仮締切り工事、吹付け工事、道路付属物設置工事、捨石工事、外構工事、はつり工事
石工事業 石材(石材に類似のコンクリートブロック及び擬石を含む。)の加工又は積方により工作物を築造し、又は工作物に石材を取付ける工事 石積み(張り)工事、コンクリートブロック積み(張り)工事
屋根工事業 瓦、スレート、金属薄板等により屋根をふく工事 屋根ふき工事
電気工事業 発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備等を設置する工事
建設業許可とは別に電気工事業者の登録が必要です。
発電設備工事、送配電線工事、引込線工事、変電設備工事、構内電気設備(非常用電気設備を含む。)工事、照明設備工事、電車線工事、信号設備工事、ネオン装置工事
管工事業 冷暖房、空気調和、給排水、衛生等のための設備を設置し、又は金属製等の管を使用して水、油、ガス、水蒸気等を送配するための設備を設置する工事 冷暖房設備工事、冷凍冷蔵設備工事、空気調和設備工事、給排水・給湯設備工事、厨房設備工事、衛生設備工事、浄化槽工事、水洗便所設備工事、ガス管配管工事、ダクト工事、管内更生工事
タイル・れんが・ブロック工事業 れんが、コンクリートブロック等により工作物を築造し、又は工作物にれんが、コンクリートブロック、タイル等を取付け、又ははり付ける工事 コンクリートブロック積み(張り)工事、レンガ積み(張り)工事、タイル(張り)工事、築炉工事、スレート張り工事、サイディング工事
鋼構造物工事業 形鋼、鋼板等の鋼材の加工又は組立てにより工作物を築造する工事 鉄骨工事、橋梁工事、鉄塔工事、石油、ガス等の貯蔵用タンク設置工事、屋外広告工事、閘門、水門等の門扉設置工事
鉄筋工事業 棒鋼等の鋼材を加工し、接合し、又は組立てる工事 鉄筋加工組立て工事、ガス圧接工事
舗装工事業 道路等の地盤面をアスファルト、コンクリート、砂、砂利、砕石等によりほ装する工事 アスファルト舗装工事、コンクリート舗装工事、ブロック舗装工事、路盤築造工事
しゅんせつ工事業 河川、港湾等の水底をしゅんせつする工事 しゆんせつ工事
板金工事業 金属薄板等を加工して工作物に取付け、又は工作物に金属製等の付属物を取付ける工事 板金加工取付け工事、建築板金工事
ガラス工事業 工作物にガラスを加工して取付ける工事 ガラス加工取付け工事
塗装工事業 塗料、塗材等を工作物に吹付け、塗付け、又ははり付ける工事 塗装工事、溶射工事、ライニング工事、布張り仕上工事、鋼構造物塗装工事、路面標示工事
防水工事業 アスファルト、モルタル、シーリング材等によって防水を行う工事 アスファルト防水工事、モルタル防水工事、シーリング工事、塗膜防水工事、シート防水工事、注入防水工事
内装仕上工事業 木材、石膏ボード、吸音板、壁紙、たたみ、ビニール床タイル、カーペット、ふすま等を用いて建築物の内装仕上げを行う工事 インテリア工事、天井仕上工事、壁張り工事、内装間仕切り工事、床仕上工事、たたみ工事、ふすま工事、家具工事、防音工事
機械器具設置工事業 機械器具の組立て等により工作物を建設し、又は工作物に機械器具を取付ける工事 プラント設備工事、運搬機器設置工事、内燃力発電設備工事、集塵機器設置工事、給排気機器設置工事、揚排水機器設置工事、ダム用仮設備工事、遊戯施設設置工事、舞台装置設置工事、サイロ設置工事、立体駐車設備工事
熱絶縁工事業 工作物又は工作物の設備を熱絶縁する工事 冷暖房設備、冷凍冷蔵設備、動力設備又は燃料工業、化学工業等の設備の熱絶縁工事、ウレタン吹付け断熱工事
電気通信工事業 有線電気通信設備、無線電気通信設備、放送機械設備、データ通信設備等の電気通信設備を設置する工事 有線電気通信設備工事、無線電気通信設備工事、デ-タ通信設備工事、情報処理設備工事、情報収集設備工事、情報表示設備工事、放送機械設備工事、TV電波障害防除設備工事
造園工事業 整地、樹木の植栽、景石のすえ付け等により庭園、公園、緑地等の苑地を築造する工事 植栽工事、地被工事、景石工事、地ごしらえ工事、公園設備工事、広場工事、園路工事、水景工事、屋上等緑化工事、緑地育成工事
さく井工事業 さく井機械等を用いてさく孔、さく井を行う工事又はこれらの工事に伴う揚水設備等を行う工事 さく井工事、観測井工事、還元井工事、温泉掘削工事、井戸築造工事、さく孔工事、石油掘削工事、天然ガス掘削工事、揚水設備工事
建具工事業 工作物に木製又は金属製の建具等を取付ける工事 金属製建具取付け工事、サッシ取付け工事、金属製カーテンウォール取付け工事、シャッター取付け工事、自動ドアー取付け工事、木製建具取付け工事、ふすま工事
水道施設工事業 上水道、工業用水道等のための取水、浄水、配水等の施設を築造する工事又は公共下水道若しくは流域下水道の処理設備を設置する工事 取水施設工事、浄水施設工事、配水施設工事、下水処理設備工事
消防施設工事業 火災警報設備、消化設備、避難設備若しくは消化活動に必要な設備を設置し、又は工作物に取付ける工事 屋内消火栓設置工事、スプリンクラー設置工事、水噴霧、泡、不燃性ガス、蒸発性液体又は粉末による消火設備工事、屋外消火栓設置工事、動力消防ポンプ設置工事、火災報知設備工事、漏電火災警報機設置工事、非常警報設備工事、金属製避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋又は排煙設備の設置工事
清掃施設工事業 し尿処理施設又はごみ処理施設を設置する工事 ごみ処理施設工事、し尿処理施設工事
解体工事業 工作物の解体を行う工事 工作物解体業

一つの業種だけで施工される工事は、少ないと思いますが、主たる工事と付帯工事をなるべく分けてお考えになられると良いと思います。

また、一式工事を取得するとどの専門業種も請負うことができるとお考えの方もいらっしゃいますが、建築一式工事業であっても500万円以上の専門工事を請負うことはできません。例えば土木一式工事業の許可を持っていても500万円以上のとび・土工工事や舗装工事などを請負うことはできません。また、建築一式工事業の許可を持っていても500万円以上の大工工事や内装仕上工事などを請負うことはできませんのでご注意ください。

建設業許可の区分

国土交通大臣または都道府県知事は、29の業種ごとに特定建設業と一般建設業の2種類の許可を行います。

建設業者は、元請・下請を問わず一般建設業の許可を受けなければなりません(軽微な建設工事のみを請け負って営業する場合を除き)。

ただし、元請けする1件の建設工事につき4,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)以上を下請契約して工事を施工する者は、特定建設業の許可を受けなければなりません。

特定建設業及び一般建設業のどちらの許可も建設工事の請負金額の大きさ自体には制限がありません。要するに元請として請負った工事を施工するにあたり下請に工事を発注する場合、その下請発注金額の合計が4,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)超える場合は、特定建設業の許可が必要ということです。

建設業許可の概要のまとめ

上記の建設業許可の概要についてポイントをまとめてみます。

今から建設業許可を取得しようと思われている方は、下記の項目を検討してください。

知事許可or大臣許可?
1つの都道府県にのみ営業所を設ける場合 → 都道府県知事の許可
2つ以上の都道府県に営業所を設ける場合 → 国土交通大臣の許可
許可業種を選択する
29の業種の中から許可を取得する業種を選択します。
選択した業種には、それぞれ経営管理責任者と専任技術者が必要です。選択するとはいうものの取得しようとする業種について、経営管理責任者と専任技術者の要件を満たさなければなりませんので必然的に決まってくるかもしれません。
一般建設業or特定建設業
一般建設業許可か、特定建設業許可かを選択します。
解説は、上記を参考にしてください。特定建設業の場合には、財産的基礎及び専任技術者の要件など、一般建設業に比べ厳しくなります。
新規申請の場合、ほとんどが一般建設業許可で申請しています。もちろん要件を満たせば特定建設業でもOKです。

まずは、お気軽にお問い合わせください!

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